Photo © Takahiro Igarashi 
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Three Aoyama

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Lieu
東京都
Année
2013

東京の中心でニュートラルであること
商業建築というものは、そもそもニュートラルからほど遠い。周囲に抜きん出るために、大きな声で自社の商品を売り込むことが使命なのだから、それらは常にテンションの高いデザインである。その傾向は周囲と競合することで相乗的に高められるので、商業密度が濃い都心部に近づくにつれ、耳を塞ぎたくなる程に、デザインの「圧力」は高まってくる。その圧力に対して、知らず知らずのうちに自身の感度を絞り、或は閉ざすことで、固く身を守ろうとしているのが都市生活者の現実なのだろう。

一方、クライアントは自然派の化粧品ブランドである。様々なストレスから心身を解き放つことで、人が本来有している生命力を高め、それによって人為的ではない美しさを得るという考え方であり、そのコンセプトは「ニュートラル」である。

前述のような「圧力」の高い都市環境の只中にあって、いかに「ニュートラルな場」を実現し、人々の心身を世界に対して開いていくか、がテーマとなった。

先ず、都市の「圧力」をキャンセルする仕掛けとして、敷地角の3割近い面積をポケットパークという「建てない領域」として確保してしまった。そしてその「都市の空隙」に面するように各店舗を配置することで、都市の圧力から一歩引いた環境を獲得しようと試みたのである。建築的にもL字型のセメント質のスラブが三枚空中に浮かべられただけの極めて単純な形式をとり、余計なデザインの「声」が発生しないように配慮している。

建築に加えて、3店舗の内装を設計したが、それぞれのデザイン意図は共通している。それは建築と同じく表層的な大声のデザインの対極として、表層・下地の区分のない「ムクなる素材」で全体を構成するというものだ。具体的には、化粧品の原料でもある「化石珊瑚石」、生命を育む土壌としての「版築」、瑞々しい森を現す「ブナブロック」、これら3種のムク材を単なる仕上げ材としてではなく、大きなマスとして配することで、表層的な記号ではない、自然の世界そのものがもつ奥深く解像度の高い世界を立ち現すことを試みたのである。

そのような微細で豊かな世界は、デザインの圧力をゼロに近づけることで、感覚することが可能になったが、ここでもう一度、都市の視点にまで引いてみると、このニュートラルな世界は、むしろハイテンションな周囲の世界を「地」として、どのような大声のデザインよりも効果的な「図」として機能していることに気づく。そのような商業の「反転」は、今後の都市を好ましいあり方へと変えていく可能性を示しているように思う。

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