日本を超えた日本建築―Beyond Japan―

20. mars 2020
All Photo by Neoplus Sixten Inc.
会場は2019年7月にオープンした金沢市の谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館。金沢の名誉市民第一号の建築家 谷口吉郎の住居跡地に、息子である谷口吉生の設計により建設。展覧会をはじめ、講座や建築ツアーなどさまざまな活動を通じて、金沢から世界へ建築文化の発信拠点を目指す施設で、本展は企画展の第2回目の開催となる。
展覧会趣旨:
日本の芸術文化は広く世界で評価されていますが、世界から高い評価を受けている日本の現代建築については、国内ではあまり知られていません。ここに展示される8人の建築家による海外の作品は、それぞれが異なる環境や設計条件にふさわしい建築として、特別に選ばれたものです。昭和初期に初めて日本人の建築家によって外国に建てられた建築は、今や世界が求めるグローバルな現代建築となって、世界の建築文化を刺激し続けています。これらの「日本を超えた日本建築」ともいえる作品を通して、現代建築の新しい潮流や建築の未来を考える機会とすることが本企画展の趣旨です。

キュレーション:ケン・タダシ・オオシマ
監修:松隈洋
まずサンクンガーデンを望む展示室で映像によって作品を紹介。
本展で取り上げられのは以下の8組、8作品。どれも建築に携わる者や、建築好きには知られているが、一般にはあまり認知されていないという。
安藤忠雄:ライトウッド659
磯崎新:ウフィツィ・ロッジア
伊東豊雄:台中国家歌劇院
隈研吾:ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム ダンディ
SANAA:ルーヴル・ランス
谷口吉生:ニューヨーク近代美術館
坂茂:オメガ・スウォッチ本社
槇文彦:4ワールド・トレード・センター
その中から選ばれた8作品について掘り下げて紹介されている。
展示は各作品がブースのようになっており、壁にビジュアルやテキストで紹介され、前面に模型が並ぶ。そして袖壁には建築家のプロファイルと、オオシマさんの解説が書かれている。
「8組は現代のプレミアムな建築家達、このスペースにもちょうど良かった。しかしそれぞれの建築家のどれか一つを選ぶのは非常に難しかった。選んだのは『日本人だからこそ』出来たもの。」と話すキュレーターのケン・タダシ・オオシマさん。
パネルの詳細は是非会場でご覧頂きたい。
ルーヴル・ランス [フランス、ランス 2005-2012] SANAA(妹島和世+西沢立衛)
Louvre Lens / SANAA
台中国家歌劇院 [台湾、台中市 2005-2016] 伊東豊雄
National Taichung Theater / Toyo Ito
ウフィツィ・ロッジア [イタリア、フィレンツェ 1998-2024] 磯崎新
Uffizi Loggia, Florence / Arata Isozaki
オメガ・スウォッチ本社 [スイス、ビール/ビエンヌ 2019] 坂茂
Omega and Swatch Headquarters / Shigeru Ban
ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム ダンディ [スコットランド、ダンディ 2019] 隈研吾
V&A Museum of Design Dundee / Kengo Kuma
ライトウッド659 [アメリカ、シカゴ 2018] 安藤忠雄
Wrightwood 659 / Tadao Ando
ニューヨーク近代美術館 [アメリカ、ニューヨーク 2005] 谷口吉生
The Museum of Modern Art / Yoshio Taniguchi
4ワールド・トレード・センター [アメリカ、ニューヨーク 2015] 槇文彦
4 World Trade Center / Fumihiko Maki


会場の奥には年表がある。
日本を超え、世界で高い評価を得ている先人達、坂倉準三、谷口吉郎、前川國男、吉村順三、丹下健三、吉阪隆正の作品と、今回の8組が時系列で紹介される。8組による作品は1990年代以降、そして21世紀になってから圧巻の数だ。
2階常設展示室の前室では、前展覧会の展示物が常設として追加されていた。ケースの中には谷口吉郎の著書「清らかな意匠」の初版本や、その自筆原稿。「ル・コルビュジエ検討」と題された自筆原稿なども並ぶ。
「游心亭」。冬の間に木々の葉がすっかり落ち、昨年夏のオープン時とは違う風景を見ることができた。
ホワイエのギャラリーショップでは、出展している各人の著書や写真集、モノグラフなどが並ぶ。
【日本を超えた日本建築―Beyond Japan―】
会期:2020年3月20日(金・祝)~8月30日(日)
会場:谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館(石川県金沢市寺町5-1-18)
詳細:www.kanazawa-museum.jp/architecture/exhibition/index.html

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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