東玉川の集合住宅

Tomoyuki Kurokawa Architects
4. marzo 2020
All photos by Neoplus Sixten Inc.
池上線雪谷大塚駅から10分、東横線田園調布駅から徒歩14分程。東京の大動脈である環状8号線沿いに建つ、RC造4階建て、19住戸からなる共同住宅。当然、この環八とどのように向き合った住環境にするかということが重要になってくる。
一般的には幹線道路に対しては閉じがちなファサードに、大きく “孔” が穿たれており建物の奥まで通じているように見える。孔と孔に挟まれボックス状の居住スペースがランダムにレイアウトされ、スラブと交互に積み上がったイメージ。
アパート名は「東玉川アパートメント」。1階はフロアレベルを440mm下げ4層の建物を成立させ、必要な住戸数を確保。意匠として外部に現れたスラブは、庇となってエントランスサイドにせり出している。
エントランスから進むと建物中央が吹き抜けになった共用部が現れる。量感のあるステージに見立てたベースと、そこから続くキャンティレバーの階段がシンボリックで、ここが建物の中心となるコモンであることを主張しているようだ。
少し角度を変えて見るとこのようになる。各住戸に穿たれた孔(土間)が共用部(コモン)と外部(パブリック)を連続させる装置となりながら、四方に抜けを展開しているのだ。共用部の床は研ぎ出し仕上げで、専用部ではコテ仕上げとなるが共用部と連続性のある孔=土間として表現されている。
プライバシーの要求が高い水廻りや寝室はボックス状に囲われ、そのほかの部分が共用部と外部を繋ぐ「孔」として認識されている。例えばこの103号室。孔はガラスの開口越しに左からと、奥の104号室の孔を介して外部に抜けている様子がよく分かる。
さらに103号室は、間の共用部を介して101号室と相互に抜けを作り合っている。101号室は北側にあるが、他の住戸から南側の環境を間接的に享受できる。
101号室。仮に他の住戸へ抜けが得られなくとも、反対側に十分な開口が設けられている。
各住戸とも専有面積は25m2。ユニットバスではなく、FRP防水の在来型浴室だが浴槽は小さめ、
このように抜けを相互に補完し合う様子は上階でも同じだ。吹き抜けは屋根のない縦の孔なので、雨はもちろん日光や気配(音)といった環境を取り込んでいる。
共用部に対する住戸からの関わり方は、平面的にも立体的にも変化を持たせ、多様な関係性を生みだしている。
202号室の場合、片側2/3を開口とする、かなり大胆に共用部への関わりを持つ住戸。
SOHO利用も可能なアパートであるため、このまま利用しても良し。カーテンレールもあるので住み手はカーテンを取り付けてプライバシーを確保することも可能だ。
305号室。こちらは外部=パブリックに大きく開口を設けたパターン。広いバルコニーもあり非常に開放的で、都市環境を最も積極的に受け入れる仕様だ。
303号室は唯一のメゾネット。3階には孔と寝室兼キッチンのみだが、開口面が多く外部を取り込まれているので実際には広く感じる。
4階には水廻りのみという潔さ。
床面積は他の住戸と変わりなく、階段室を立体的な居場所として捉えて活用することもできる。
403号室。吹き抜けに直接面した住戸であるため、抜けは空や1階にまで及ぶ。

「都市に密集する強固な量塊に孔が穿たれることによって、生活は都市へと飛び出し、都市は住まいの一部として認識されます。住戸内部での活動、共用部での活動、都市での活動など様々な活動が領域を横断して認識され、領域の区分自体を無効化します。そうすることで都市と住まいは溶け合い、すむことの認識はより野性的なものになるのではと考えました。」と黒川智之さん。
【東玉川の集合住宅】
設計監理:黒川智之建築設計事務所
構造・規模:RC造4階建て、19住戸
面積:建築面積171.11m2、延床面積567.02m2

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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