安藤忠雄の新国立競技場に関する記者会見 レポート

Neoplus Sixten Inc.
16. julio 2015
Photo by Neoplus Sixten Inc.

7月16日、JSC主催による安藤忠雄の新国立競技場に関する記者会見が都内で行われたのでその様子をお伝えします。
当該コンペのプログラムに関して不透明な部分が多いことや、審査方法、神宮外苑の景観、デザイン、規模、建設コスト、工期、などなど様々な問題提起がなされてきた。
そんな中、そもそもこのデザインを選んだのが悪いのではないのかという論調が目立ちはじめたため、長く沈黙を貫いてきた安藤氏が、本日遂に自ら記者会見を開いた。
その中で筆者の問い、槇文彦氏や、磯崎新氏の提案についても回答をいただいた。

会見場にはテレビカメラ20台以上をはじめ、マスコミ数百人が集まった。

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昨年膵臓、脾臓を全摘する手術を行ったが「今生きているのが不思議なくらい。」といいながら元気そうな姿を見せた安藤氏。

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パネルを持ち込み審査委員が携わったのはデザイン選定までで、その後の設計によってコストが上がっていると説明。

安藤氏:
審査終了後も、デザインについて、設計について何か分からないことがあったらいつでも聞いてくださいとJSCには伝えていたが、一度も質問されたことは無かった。

コンペ当初予算は1300億円とされていたが、その中で収まるはずのデザイン案を選んだ。我々審査委員会はそこまで、その後基本設計を進めると1625億円になると、周りから聞こえてきた。JSCから連絡があったわけではない。
このくらいのオーバーなら、実施設計で少しずつ減額していけるのだろうなと思った。
ところが暫くして、2525億円になると伝わってきて私自身ビックリした。2525億円になったと聞いたのは、みなさんと同じ、外から伝え聞いただけなのです。

もっと下がるところあるでしょうと思います。聞いても「そのくらい掛かります」としか答えてくれない。
それなのに「安藤が決めたデザインが2525億円」みたいに言われても困ります。

前回の誘致で負けたのはリオのスタジアムに負けたのではと考えた。今回誘致に勝つためにはザハ案が一番いいと思った。

一人の人間として、ザハさんの案は残して欲しいと思います。

ただ値段が合わないので日建、日本設計、梓、立派な設計事務所がありますから徹底的に討論して、それを公に公開しながら決着しなければならいと思います。

コンペやその後の進展について情報は公開しながらやるべきだったと私も思った。

正直、あの敷地で80,000人の競技場は無理があると思った。でも80,000人はオリンピックで決まっている。場所もあそこだと決まっていたんですから。断ることもできたが、日本のために何か手伝いたいと思った。引き受けたからには勝って欲しいなと思った。

私も日本国民です、もっとさげられません?と思っています。

日本の技術や知恵を集め、ゼネコンは儲けようとばかり考えず、ここは日本のために是非頑張ってもらいたい。

日本のためのオリンピックです。多くの方の感心がお金ですが、どういう案になるか私も分からないですが、選んだザハさんと協調しながら進めて欲しいと願っています。

フォスターやロジャースが殆ど何もしていないのでは、というメディアもあるが、来日こそしていないが担当者が出向いてしっかりと時間を掛けて検討し、最終的に賛同してもらった。

周辺住民の立ち退き、環境問題については、80,000人入るというのはそれだけ大きくなるのです。スムーズにいくとは思いませんが多くの議論をオープンに行っていかなければならいと思う。


【筆者からの質問】
Q:
槇文彦さんや、磯崎新さんなどの提案がありますがどのようにお考えでしょうか?

安藤氏:
槇先生の唱える意見、特に景観やコスト、無蓋化は、基本設計チームがどう受け止めるか聞いてもらわなければならない。聞いていると思ういますけど。そこには我々は参加できてないわけです。槇先生は大変頑張っておられる。最後までよく頑張っておられる。凄いなと思いますが私たちにそんなエネルギーはあるかどうか、と思っています。

一方磯崎さんは「ザハを選んだのだから、国際協約からいってザハを外すわけにはいかない、そのことをしっかりと踏まえて考えなさい。」と仰る。私も全くそう思います。これは重要なことです。そうしないと日本の国際的な信用がなくなります。

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【リリース全文】
新国立競技場改築について、國際デザイン競技審査委員長として、ザハ・ハディド氏の提案を選んだ審査の経緯です。

老朽化した国立競技場の改築計画は、国家プロジェクトととしてスタートしました。「1300億の予算」、「神宮外苑の敷地」、オリンピック開催に求められる「80,000人の収容規模」、スポーツに加えコンサートなどの文化イベントを可能にする「可動屋根」といった、これまでのオリンピックスタジアムにはない複雑な前提条件がありました。さらに2019年ラグビーワールドカップを見据えたタイトなスケジュールが求められました。
その基本デザインのアイデア選定は、2020年オリンピックの招致のためのアピールになるよう、世界に開かれた日本のイメージを発信する国際デザイン競技として行うことが、2012年7月に決まりました。
2013年1月のオリンピック提出ファイルに間に合わせるため、短い準備期間でのコンペとなり、参加資格は国家プロジェクトを遂行可能な実績のある建築家になりましたが、世界から46作品が集まりました。

コンペの審査は10名の審査委員長を組織して行なわれ、歴史、都市計画、建築計画、設備計画、構造計画といった建築の専門分野の方々と、スポーツ利用、文化利用に係る方々、国際コンペの主催者であるJSCの代表者が参加し、私が審査委員長を務めました。グローバルな視点の審査委員として世界的に著名で実績のある海外の建築家2名も参加しました。
まず始めに、審査委員会の下に設けられた10名の建築分野の専門家からなる技術調査委員会で、機能性、環境配慮、構造計画、事業費等について、実現可能性を検証しました。その後二段階の審査で、コンペの要件であった未来を示すデザイン性、技術的なチャレンジ、スポーツ、イベントの際の機能性、施設建設の実現性等の観点から詳細に渡り議論をおこないました。2012年11月の二次審査では、審査員による投票を行いました。上位作品は票が分かれ、最後まで激しい議論が交わされました。その結果、委員会の総意として、ザハ氏の案が選ばれました。

審査で選ばれたザハ案はスポーツの躍動感を思わせる流線型の斬新なデザインでした。極めてインパクトのある形態ですが、背後には構造と内部空間表現の見事な一致があり、都市空間との繋がりにおいても、シンプルで力強いアイデアが示されていました。とりわけ大胆な建築構造がそのまま現れたアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感は際立ったものがありました。
一方でザハ案にはいくつかの課題がありました。技術的な難しさについては、日本の技術力を結集することにより実現できるものと考えられました。
最終的に、世界に日本の先進性を発信し、優れた日本の技術をアピールできるデザインを高く評価し、ザハあんを最優秀賞にする結論に達しました。
実際その力強いデザインは、オリンピック招致において原動力の一つとなりました。
国際コンペ委員会の実質的な関わりはここで終了し、設計チームによる作業に移りました。

発注者であるJSCのもと、技術提案プロポーザルによって日建設計、日本設計、梓設計、アラップが設計チームとして選ばれました。13年6月に設計作業が始まり、あらゆる問題について検討が行なわれ、14年5月に基本設計まで完了しました。この時点で当初の予算1,300億円に対し、概算工事費は1,625億円と発表されました。この額ならば実施設計段階でコストを抑える調整を行なっていくことで実現可能と認識しました。
基本設計により1,625億円で実現可能だとの工事費が提出され、事業者による確認が取られた後、消費税増税と物価上昇にともなう工事費の上昇分は理解できますが、それ以外の大幅なコストアップにつながった項目の詳細について、また、基本設計以降の実施設計におけるプロセスについては承知しておりません。さらなる説明が求められていると思います。
そして発注者であるJSCの強いリーダーシップのもと、設計チーム、建設チームが、さらなる知恵を可能な限り出し合い一丸となって取り組むことで、最前の結果が導かれ、未来に受け継がれるべき新国立競技場が完成するこを切に願っています。

2015年7月16日
新国立競技場基本構想国際デザイン競技
審査委員長 安藤忠雄

以上

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