HOUSE M & L

Soi-a - Studio
19. November 2019
Photo by Neoplus Sixten Inc.
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夫婦と子ども二人の家族が住まう、築10数年の分譲マンション。子どもが生まれたタイミングで購入したが、子どもが成長するにつれ生活スタイルや持ち物が変化していき、間取りが合わなくなってきた。
当然のことであるが、分譲マンションは経済論理で床面積と部屋数のみが重視されるため、収納はあるものの基本的にデッドスペースを利用しただけのものが多く、それらの使い勝手には配慮されていないのが常だ。

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そのためあまり使われない収納があるにも関わらず、手元近くに置きたい物の収納がなく、リビングに置きっ放しになるなどしていた状態だったので、まず収納のあり方を提案した。
玄関を入って直ぐに、お父さんと息子さんのスペース。そして息子さんの ”家” 「HOUSE L」と呼ぶ収納やベッドが立体的に組み上がった小さな建築物が目を引く。(中央のグレーのものはPS)

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クローゼットや階段収納、そしてロフト空間を作り就寝スペースに。ロフトには息子さんが作ったレゴコレクションが並ぶスペースも。

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反対側は家で仕事をするお父さんの書棚など。

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「HOUSE L」を抜けると「家族の間」と呼ぶLDKへ。
右に水回り、「HOUSE M」。左にキッチン、主寝室。正面に長いす。

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お母さんと娘さんのスペースと、「HOUSE M」と呼ぶ娘さんの “家” 。内装は淡いグリーン。床はコルクタイル。左の長いすは逆梁を利用して作り付け、下部は収納にもなっている。

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模型で全貌を紹介。左から玄関と息子さんの「HOUSE L」、中央にLDK、奥にキッチンと主寝室。手前に娘さんの「HOUSE M」。右には「HOUSE L」と「HOUSE M」の単独模型。木で出来ている箇所が今回作り足した収納や家具。
何をどこに置くか、それはオープンに置くか、仕舞うか、など4人の物の居場所を整理し、かつ使い勝手の良い動線上に各収納を設えた。そして「何とかして床面積を増やして欲しい」との要望から二つのロフトスペースを設けることとした。

Image by Soi
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鉄骨で組まれたHOUSEは構造家にも入ってもらった。ふかされていた天井を剥がし、シーリングライトの分だけ張り直し天井を高くした。さらにロフトの上はぎりぎりまで折上げ、約1mの天高を取った。

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裏側にはお母さんと共用のスタディスペース。

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クローゼットと収納階段。

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上はカーペットが敷かれ、子どもには十分なプライベートスペースとなっている。モデルは見学に来ていた子どもで、「いいなあここ!」と憧れていた。

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HOUSE下部の収納は可動式。頻繁に動かす予定はないそうだが、沢山人が集まった時に移動したり、将来子どもが自立した際、不要となる収納を想定している。

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小学生の娘さんの夏休みの自由研究はこの家のリノベーションレポート。「最初は本当に出来るのかな?と心配していましたが、建築士さんがデザインしてくれて、私だけの個人スペースができてとても気に入りました。」と計画段階で太鼓判をもらっている。

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大和田栄一郎さんと、井上湖奈美さん、娘の八衣(やえ)ちゃんは1歳半。二人ともY-GSA卒業で、藤原徹平さんのフジワラボ出身だ。
「壁に囲まれた個室のような “与えられた空間” ではなく、自分たちで大きさや仕切り方を調整出来る小さな建築群を計画し家族の空間の中に配置しました。小さな建築群には、家族間のコミュニケーションや配慮が必要不可欠です。子どもたちも家族の一員として、自らの居場所を他の家族と調整しながら獲得していきます。家族という社会的な単位において、それぞれの関係性や距離感の最適解を探り、使い手と共に成長できる空間として計画しました。」
自身達にも子どもが生まれ、子どもと一緒に成長していく住まいは今後も重要なテーマとして取り組んでいきたいという。

【HOUSE M & L】
設計・監理:大和田栄一郎+井上湖奈美/Soi
構造設計:村上翔
施工:株式会社シグマテック
鉄骨:スーパーロボット
解体:有限会社躯体整形

規模:75.06㎡

Posted:Neoplus Sixten Inc.

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