下馬の集合住宅

Tomoyuki Kurokawa
23. de desembre 2020
All photos: Neoplus Sixten Inc.
敷地は田園都市線と東横線の間に位置する住宅密集地の角地。こういった角地緩和が適用される敷地では、建ぺい率や斜線制限にゆとりがあるため、比較的大きな建物が建てることができるが、黒川さんは角を塞ぐような大きなボリュームとはせず、ほぼ分棟とも言える中庭をもつ建物を提案した。
アパート名は「ASTILE三軒茶屋」
これにより周辺の戸建ての並びが延長するような建ち姿となった。
約45度の角度を持つV字型の建物は、外的なロジックから決まったボリューム配置で、そこに生まれた空地はどちらかというと残余の空間であるため、空地はこのアパートに所属するより、街の余白的な意味合いを持たせ街に還元した。
1階両端の住戸は専有のテラスを持ち、鉄扉を開放すると外部とダイレクトに連続するため、店舗やSOHO使いも可能だ。
1階には5住戸の玄関と、2本の共用階段が並ぶ。各住戸には間口分の専有部と、軒があるのでそれだけでも生活や行動のスタイルが少し豊かに変わるだろう。
V字の内側の外壁は、型枠をラワンに変えてパールを含んだ塗料を塗った。ラワンの型枠を使用することによって、V字の内側が街から見たインテリア的な存在にるよう意識したという。
4階へ。
203、303、403号室は約42㎡。V字の内側の内壁も仕上げにラワンを用いて、前述のラワン型枠と関係性を持たせた。
V字の中間で折れ曲がる屋根形状が天井に現れている。
一つ前の写真の窓から見た景色。
約18㎡の201号室。
開口からは通りの奥まで見通せ、面積以上の広がりを享受できる。
一度外へ出て、1階住戸へ。
104号室(約46㎡)。1階はほとんど設備のないシンプルな土間空間。SOHO使いや、ガレージ的に使うのに良さそうだ。
地下に生活空間が広がる。筆者の背後にドライエリアがあるのでこれだけ明るい。
105号室。通りに直接アクセスできる住戸で、町家の「みせのま」のような土間空間。店舗としても利用できるそうだ。これらは本来事業主からの要望にはなかったもので、黒川さんが提案した配置計画によって生まれた。
キッチンもここにある。ダイニングもここになるだろうが、住みても街も互いに新しい関係がつくられるようなポジションだ。
1階は約19㎡、地下階は約36㎡で二間ある。ドライエリア両室に面しており採光は十分だ。

「二つの家形のボリュームを敷地境界沿ってV字に配置することで、二つの前面道路沿いに連続する戸建住宅の並びを、敷地内まで引き込むことを意図しました。街に帰属させる形でボリューム配置を考えることで、V字ボリュームに囲われた空地は、帰属意識の曖昧な残余の空間として街の中に立ち現れることとなります。こうした帰属の曖昧さが、街並みの中に寛容さを生む端緒になるのではないかと考えました。」と黒川智之さん。
【下馬の集合住宅】
設計監理:黒川智之建築設計事務所
構造設計:ロウファットストラクチュア
設備:EOSplus・ジーエヌ設備計画
施工:FORM GIVING
企画:アスコット

主構造 : 壁式RC造
規模 : 地上4階建
敷地面積 : 203.63㎡
建築面積 : 113.49㎡
延床面積 : 543.94㎡
容積対象延床面積 : 394.09㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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