間宮晨一千デザインスタジオによる京都の「近藤悠三記念館/KONDO MUSEUM」

Shinichi Mamiya, Neoplus Sixten Inc.
15. de novembre 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.

清水焼の陶芸家で人間国宝 近藤悠三(1902-1985)の生家跡地である。その地に1987年作品を収蔵・展示する「近藤悠三記念館」が建てられた。30年の時を経た今回のリニューアルでは、孫にあたる近藤高弘氏 (現代美術家として国際的に活動中)をクライアントに、新たなミュージアムとしてのあり方を時間をかけながら共に模索していったという。

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間宮晨一千デザインスタジオは、普段から自社オフィス柱の杜にて、なごや朝大学の運営や高蔵寺ニュータウンのまちづくりに関わるなど、街と人をつなげるプロジェクトを手掛けている。今回の依頼に対しても、2階建ての1階と2階一部を展示空間として設計したほかに、KONDO MUSEUMとして次の時代につなげていくためのソフトコンテンツ企画までを担当した。 

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エントランススペース。ガラスケースにはこれまで広く公開されていなかった悠三の最大級の作品である梅染付大皿を展示し、茶わん坂の通りから誰でも見ることができるようにした。

エントランスまわりの洗い出しは小石の色合いや大きさを細かく指定して仕上げている。建具などは外観の調和を考えて既存の窓格子の割付に近しいプロポーションとした。また道行く人々の流れに添わせるようにR壁を新設している。

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グラフィックはグラフの北川一成が手掛けた。

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中に入ると照度を落とした黒をベースとした空間。クライアント・近藤高弘氏の作品「Monolith」が展示されている通路と、奥に広い空間。
黒には様々な種類が使われており、例えば左の壁は粒の細かい聚楽仕上げ、右の作品背後の壁には和紙職人ハタノワタルによる黒。それらがさりげなく存在し調和している。

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今回のリニューアルに際して、近藤悠三の作品だけではなく、同じく陶芸家として活躍していた長男の近藤豊(1932-1983)と、次男の近藤濶(1936-2012)の作品、そしてクライアント自身の作品を同時に展示することが求められた。エントランスから少しずつずらしながらそれぞれエリア分けし、厳選した作品をゆったりと展示している。床は鉄平石、天井には艶やかな竹などを用い、素材の質感が作品を引き立てている。

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豊と濶の作品エリア

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悠三の陶磁器エリア

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ミュージアムバー「柳水(りゅうすい)」。

作品を鑑賞するプラスアルファの体験を提供する新たなコンテンツとして取り入れたもの。「清き水にちなんだ利き酒を楽しみ、鑑賞と体感の両方から清水の歴史を感じとることができるスペースです」と間宮氏。カウンター奥には、間宮氏がクライアントの近藤高弘氏に制作依頼したという、銀滴彩をあしらった横幅7mのレリーフ。

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暗がりの中でこの銀の滴りが浮かびあがることで、この地の水に纏わる流れ、滴、潤いや艶などを陶器の世界の中で感じてもらうことを目指したという。
 

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日本酒の他にも、抹茶や緑茶なども。
特別な空間でのここでしか味わうことができない体験。

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リニューアルでも唯一残したのは、1924年に悠三がこの地に陶工房を構えた当時の作業場。

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一坪半ほどの空間に資料や道具類、ぐい呑酒器などが展示されている。

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間宮晨一千氏。

「清水焼の変遷、進化の過程を楽しめる空間です。このミュージアムを起点とし、茶わん坂をクラフト通りとして活性化させる起爆剤になればと考えました。今後も文化発信のできる"茶わん坂ブランディング”を広げる活動を続けていきたいと思っています」

【近藤悠三記念館/KONDO MUSEUM】
京都市東山区清水1-287

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