しぜんの国保育園(small village)

東京
写真 © 矢野紀行
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建築家
中佐昭夫/ ナフ・アーキテクト&デザイン
場所
東京
2014

様々な世代や文化の人々が集まって交流できる、小さな村のような保育園。

敷地は前面道路から下ってゆく雑木林の斜面で、下った先に平場の園庭がある。その斜面に7つの建物と、長いスロープをつくった。スロープは山の遊歩道のようなカーブを描きながら建物同士をつなぎ、木々の間を通り抜け、緩やかな勾配で前面道路と園庭を結んでいる。

園庭側の建物には異年齢で様々な活動ができる保育室があり、前面道路側の建物には事務室や遊戯室がある。周辺に残る里山の自然・食育・芸術を取り入れながら、地域に開放されたバリアフリーな保育環境づくりを目指した。

子供が家庭で生まれ、地域の中で学び育つことを本来とするならば、保育園もそれを目指すのが自然ではないかと感じている。児童福祉法で定義される保育園は「保育に欠けるその乳児又は幼児を保育する」場所だが、女性の労働参加が促されるこれからの社会に、その定義を越えた枠組みの保育園(家庭の代わりとなり、老若男女が行き来し、教育・文化・地域交流がある場所)を、「small village」というコンセプトで提案した。

異年齢で様々な活動を行う3・4・5歳の保育室は、内部が「音楽」「ごっこ」「アトリエ」「ラボ」「建築」「図書」に区分されている。その活動内容を充実させるため、保育園の事務室をシェアオフィスとし、それぞれの活動に携わる専門家(芸術家)が保育園自体を拠点として使えるようにしている。

メインエントランスには、園児の父母や地域の住人が気軽に立ち寄れるコミュニティカフェを設け、その隣にある遊戯室をタウンホールとして地域に開放し、公民館のような使い方が出来るようにしている。什器や設備もそれを前提に選定・製作された。

保育園の周囲には里山(クヌギやコナラの雑木林)があり、園児が日頃から畑でとれた作物を加工して給食に使ったり、木の実で作品を作ったりしている。それらを受け継ぎ、建て替え後の保育に生かすため、園児と保育士を交えたワークショップが建て替え前の1年間で継続して行われた。その成果を、保育室での活動に対応した什器開発や、建物各部の仕上げ材選定に反映している。

里山の維持管理のためには、15〜25年程度の伐期に達した成熟林を伐採して、これにかわる幼齢林を仕立てる「更新」の手続きが必要とされている。今回の新園舎計画は35年前に建てられた旧園舎の老朽化に伴うものだが、その建設当時に植えられた樹木を含め、敷地内の育ち過ぎた樹林の「更新」を行った。伐採した樹木は保育園の本棚の材料として利用し、将来の樹林を仕立てるため、併行して園庭に築山が造成され、園児や近隣住民を交えた植樹祭が行われた。

保育園としての役割を終えた旧園舎は、新園舎のバックアップおよび里山管理の拠点として、これから利用する検討が進められている。里山の文化と自然を継承してゆくことで、地域と共にある保育園としての更なる成熟を目指している。

-中佐昭夫-

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