町田自然幼稚園Q棟

東京
写真 © 矢野紀行
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建築家
中佐昭夫/ ナフ・アーキテクト&デザイン
場所
東京
2017

2003年から続く町田自然幼稚園の増改築工事、Q棟はその第8期目にあたる。

敷地は1600坪の広さがあるが、その多くが雑木林で南東に下る斜面になっていて、平場はさほど広くない。点在する5つの建物(I棟、J棟、L棟、M棟、N棟)で園舎が構成されており、園児たちは緑豊かな環境で屋内外を行き来しながら活発に活動しているが、増改築を重ねる中で徐々に園児の数が増え、平場やホールの面積が不足し始めていた。

バス駐車場を兼ねた送迎所として使われているJ棟は斜面の下にあり、もっとも築年数が古いものだったが、近年になってJ棟周辺の斜面が土砂災害警戒区域に指定されたこともあり、J棟を解体のうえ、土砂災害対策を兼ねてQ棟を増築することになった。要件としては、バスが余裕をもって3台駐車できること、その上階にできるだけ広いホール、屋上に平場の展望デッキを設けることだった。

斜面の下に建物をつくろうとすると、基礎工事の際に斜面を削り取ることになる。要件から考えてQ棟はJ棟よりも建築面積がかなり広くなる見込みで、そのまま配置を変えなければ、削り取る土は相当な分量になり、工事費が増大してしまう。それを最小限にするため、J棟があった場所から斜面の等高線を確認しながら配置を移動することにしたが、移動先になる敷地の南東端部は折れ曲がった二股の道路に挟まれていて、設計上の制約が多い。それでもQ棟の建築面積はできるだけ広くしたいという要件とのせめぎ合いの結果、建物平面は変則の八角形になった。

この変則八角形を、「梁のスパンが構造的限度以下になること」「内部に柱をできるだけ落とさないこと」を条件に、10個の三角形の組み合わせによる鉄骨フレームとしてピロティ状に持ち上げ、バス駐車場にしている。八角形の外周にある8本の柱が着地する部分の基礎は、バスが出入りする側は立ち上げずフラットにして、斜面を削った側では立ち上げて土留め壁にしている。基礎を使って土砂災害対策を行い、バス駐車場を包む構成だ。

ピロティ状に持ち上げたホールは壁面の大半をガラス張りとした一室空間で、観客席にもなる大階段を備えており、ブリッジを渡って出入りする。バス送迎の待機場所としても使えるように、駐車場から直に上り下りできる階段も設けた。開放感をもたせるために天井を高くしてあり、空調効率を考えて関連機器を床下に収めている。床付近に吹き出し口のスリットを設けて冷暖房を利かせると同時に、その空気を床下から床材に吹き付けることで輻射式床冷暖房に活用する仕組みだ。機器のメンテナンスは下階の駐車場から行う。

駐車場は天井高さを抑えて、機器メンテナンスをしやすくすると同時に、法規的に地下1階として取り扱うことで建物全体の耐火性能を不要としている。耐火被覆がないため鉄骨フレームはそのまま現しとして、各部仕上げも木羽目板などシンプルな素材を選択した。一方、天井が低いままだと、とくにバスが駐車している際には圧迫感があるため、機器が収まっていない部分の天井を折り上げて、開放感や風通しを確保している。全体として平均天井高さを一定以下とした多面体とし、それが外観の特徴にもなっている。

屋上はデッキ敷きで、周囲360度が見渡せる。斜面が多い敷地内では貴重な平場であり、遠くの山々を背景にして、プランターを並べて食べられる果樹を植えるなど、園児たちの新しい遊び場が計画されている。

建主である正和学園は、ちょうど同時期に、町田駅から歩いて数分の市街地で「つながり保育園・まちだ」を開設した。そこからの送迎バスが、緑豊かな自然幼稚園に向かってネットワーク的な運行を開始している。Q棟が、敷地内で生じていた様々な不足を補うと同時に、ネットワーク拠点のひとつとして、園児たちに送迎の楽しさを伝える新たなランドマークになればと期待している。

-中佐昭夫-

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