新屋敷の家

愛媛県西条市小松町という平地の広がる地域。敷地は日本百名山のひとつである石鎚山系の山々が見え、その山系を源流とした中山川が敷地の東側に流れています。敷地近くには桜三里という桜の名所(峠道)があり、この名所から派生していくように春先には敷地沿いにも桜並木が広がります。建主はこの豊かな環境を最大限に取り込んだ住宅を望まれました。
東側外観
ダイアグラム(クリックして拡大)

 

設計プロセスの中で特に大切にされた点や、設計の手がかりとされた点は何ですか?

東西に風が通る環境を考慮して敷地の西側に余白を残し、東側に建物を配置。(fig.1)その建物を2分割して扇状に開くことにより、景色を最大限に取り込む形態としました。(fig.2)東外壁は屋根勾配に合わせて地面まで伸ばし、隣家の視線をゆるやかに遮る塀としての機能だけでなく、景色のよい方向に手を伸ばしていざなうようにも見え、見方を変えると家を優しく包み込むような役割となっています。さらに、扇状の形態に隙間を開けることで風の通となる谷間をつくりだし、河川からの涼しい風が居室内を通り抜けていきます。(fig.3)

玄関からダイニング方向を見る
ダイニングから中山川方向の景色を見る
ダイニングからリビング方向を見る
テラスから西側吹抜方向を見る

 

今回のプロジェクトを通して、解決するべき課題、特に困難だった点は何ですか?工夫された点、導入した手法などがありましたらご説明下さい。

敷地が広大であったため、いかに住まいのストーリーをつくるかという課題もありました。西側アプローチを通り、玄関を開けると奥から光が差し込む谷間が現れ、そこを通り抜けるとパノラマ状の景色が広がる動線のつながり。さらにホール、LDK、和室という方向へ400mmずつ上がっていく高低差によって様々な景色を楽しむことができ、内部に多様な表情をつくりだしています。またLDKからつながる間口いっぱいのテラスは深い軒によって守られ、多様な集いの場となっています。

和室から中山川方向を見る
軒下空間
東側外観の夕景
平面図(クリックして拡大)

 
今回のプロジェクトから学ばれたこと、今後の設計活動に活かされること、課題についてご説明下さい。


環境と向き合い、対峙するでもなく融合するでもない、ありのままの状態を素直に体現していくことで、豊かな広がりと包容力が生まれてくることを学びました。

Interview by Ryogo Utatsu / japan-architects

新屋敷の家
2016
愛媛

建築設計
小松隼人/小松隼人建築設計事務所

プロジェクトチーム
小松涼子

構造設計
堀江 聡

施工
日吉産業株式会社

敷地面積
502.11㎡

建築面積
89.57㎡

延べ床面積
114.98㎡

主構造
木造

写真
矢野紀行