Kozuki House

細長い敷地に建つ店舗兼用住宅。1階は道路側に店舗と居住空間へのアクセス、2 階は奥行き全体を見通せる大きなワンルームの居住空間を配置。このワンルーム空間には、「ユカ」と乳白の障子パネルで作った4つの箱が、「ユカから吊られる」「ユカを包む」「ユカに載る」「ユカを囲う」という状態で浮いている。
階段1
乳白のパネルはほんのりとした光を通すため、箱内部が間接的な光で満たされるだけではなく、家族がそれぞれの箱の中にいる時、そこから漏れる光や影が風景として互いの気配を伝えあう。「ユカ」は、隣地に接する壁を極力薄くするためと、隣地に接する以外の壁や天井の自由度を高めるために必要な構造体でもある。
断面図
「ユカから吊られる」箱
また、内法3mという間口の狭い住宅の中にあえて階段を2つ用意することで、視線だけではなく人の動きとしても行き止まりを感じさせないように設計されている。以下、本作品について塚田眞樹子氏にお話しいただいた。
階段2からの見通し
計画、設計された建築と実際に完成した作品との違いはありましたか? 問題解決するにあたって、困難だった点、工夫された点などがあれば教えて下さい。


基本設計が終わり、クライアントに模型を見ていただきながら、「両サイドの壁は外部を想わせる黒くてざらざらした素材で仕上げ、4つの箱は路地のような隙間に行灯が浮いているイメージでつくりたい」と説明した際に、「明るい家にしたいため、壁は白が良いのですが、、、」という希望が伝えられました。過去の作品に白いニュートラルなものはなかったので最初は多少戸惑いましたが、最終的には「色で建築のもつ力が失われるはずはない」と信じ、ご希望の色を使うことに決めました。完成したものは、「雲の中にいるような浮遊感」と「箱と箱の隙間から覗く空の景色」とで、都市の中にいることを忘れさせ、住む楽しさを生み出していると思います。また、様々なテクスチャーの白を混在させたためか、ものとものの区切りが曖昧になり、この空間がどこまでも続いていくように感じさせる伸びやかさが生まれたように思います。
子供室
これまでの作品と比較して、今回のプロジェクトはどのような違い、共通点がありますか?

これまでの作品との相違点は、内外装の色や素材感。 共通点は、大きなワンルーム空間の存在。また敷地の個性を最大限生かすためにユニークな構造が、全体の空間構成を決定していく上で深く関わっている点。
平面図
今回のプロジェクトから学ばれたことは何ですか。今後の設計活動に活かされること、課題などについてご説明下さい。

日本の商店街では、このような極端に細長い「隙間のような敷地」の存在は決して特殊とは言えず、ここに潜り込ませるべき建築とはどのようなものであるべきかを考える良い機会を与えられたと思います。 「この場所」だからこそ実現できたことを、この建築のみで終わらせるのではなく、今後、建築と都市環境や自然との関わり方に活かしていきたいと思います。

聞き手:町田夕子
Kozuki House
2010

東京

建築設計
塚田眞樹子建築設計
東京

敷地面積
56.43㎡

延床面積
121.92㎡

写真
塚田眞樹子建築設計