新屋敷の家

愛媛県西条市小松町という平地の広がる地域。敷地は日本百名山のひとつである石鎚山系の山々が見え、その山系を源流とした中山川が敷地の東側に流れている。また敷地近くには桜三里という桜の名所(峠道)があり、この名所から派生していくように春先には中山川沿いにも桜並木が広がる。建主はこの豊かな環境を最大限に取り込んだ住宅を望まれた。
まず、東西に風が通る環境を考慮して敷地の西側に余白を残し、東側に建物を配置。その建物を2分割して扇状に開くことにより、景色を最大限に取り込む形態とした。東外壁は屋根勾配に合わせて地面まで伸ばし、隣家の視線をゆるやかに遮る塀としての機能だけでなく、景色のよい方向に手を伸ばしていざなうようにも見え、見方を変えると家を優しく包み込むような役割となっている。また、扇状の形態に隙間を開けることで風の通となる谷間をつくりだし、河川からの涼しい風が居室内を通り抜けていく。西側アプローチを通り、玄関を開けると奥から光が差し込む谷間が現れ、そこを通り抜けるとパノラマ状の景色が広がる動線のストーリーをつくり、さらにホール、LDK、和室という方向へ400mmずつ上がっていく高低差によって様々な景色を楽しむことができ、内部に多様な表情をつくりだしている。またLDKからつながる間口いっぱいのテラスは深い軒によって守られ、多様な集いの場となっている。
環境と向き合い、対峙するでもなく融合するでもない、無理なくありのままの状態を素直に体現していくことで、豊かな広がりと包容力が生まれた住宅である。
場所
愛媛
Year of completion
2016