雲と山の庭

山形県天童市。新築更地の庭園構想は、その地形を生かして、広がりのあるデザインを心がける必要があった。二軒の敷地を一つにしたため、解体時に出た庭の材料も二軒分あった。古風な松や伽羅木の仕立物、地元の鳥海石など、既存の材料をグリッドにあわせて配置し、常に人の動線を意識して計画した。

この庭を四つの空間から構成した。はじめに門から玄関までの前庭。ゆったりした芝生にクランクするアプローチには、十尺の春日燈籠と松をリズムよく配置した。リビングからの眺めは、同時に咲くこともあるヤマザクラと黄色いレンギョウ、白いユキヤナギを演出した。
次に大きな枝垂桜のある禅庭。3トン級の鳥海石を一列均等に並べた石組は、斜めから見ると山脈になる。また正面からはその一つ一つが、陳列された抽象彫刻のようにも見える。そして、その石組を縫うように、7本の紅葉を夜空の北斗七星を写した場所に配置した。さらにヤブツバキを植え、根元には舞台石を敷いて、落ちた花を楽しめるようにした。
三つ目は築山の庭。この空間は、主人の書斎からしか眺めることができない。前景に7トンもの石を据え、築山との距離を与えつつ、その山に即興で荒く石を組んだ。そして、中心に向かって、一列に飛石を打ち緩急をつけた。その周りの刈り込まれた伽羅木も山に浮かぶ雲影として見立てている。
最後に玄関から正面に見る雲の庭。この主庭は、白と黒の御影石を叩き、磨き、その上に溜まる雨水に映る雲や、その水が乾いていく形によって、雲の変化を表現した。四方に組まれた雲の坐禅石は雨落ちに食い込ませ、屋根から落ちる雪解け水の道を刻んで、この庭が完成した。

東北で初めての庭作りは、雲の上のような、雪化粧をイメージしながらの作業であった。
Landscape Architect
N-tree
Year of completion
2014