九州産業大学ランドスケープ

福岡を拠点に活動するランドスケープ・デザイン会社、デザインネットワークによる、九州産業大学のキャンパス・ランドスケープをご紹介します。

「九州産業大学ランドスケープ」は、学生たちの移動・活動空間が多様で大らかなものになるようにと計画され、自由な曲線や直線、不規則な線の構成により出来た棚田のような地形など、豊かな表情をみせています。それぞれの場所には人の歩き方や動きに呼応するかのようにリズムがあり、機能があり、自由がある、公園のようなキャンパス・ランドスケープです。

デザインネットワークの古家俊介氏にお話を伺いました。
水路が縦断し、ファニチャーが点在する中央広場。
プロジェクトの概要をご説明下さい。

当大学の50周年記念事業の一環として、キャンパスの再整備を行いました。計画地内の高低差や既存環境(水路や高低差など)を活かした、一体的な環境整備が求めらました。そこで私たちは、”公園のようなキャンパス・ランドスケープ“を目指しました。それは、“人の流れ”と“人の滞留”が同時多発的に生まれ、それらが相互作用することで、キャンパス全体が活性化するようなランドスケープです。
円形のパーゴラが浮遊する中央広場。
明快な軸線や動線経路のない中央広場。
“座る”だけでなく、多様な使い方ができる雲型のベンチ。
設計プロセスの中で特に大切にされた点、もしくは設計の手がかりとされた点は何ですか?

学生たちの移動ルート、交通量等を調査することによって、キャンパス内を学生たちが出来るだけストレスフリーに移動できるように心がけました。また、シームレスに多様な“場所”を繋げることで、人の流れや滞留を促すようなランドスケープデザインを心がけました。
公園のように自由に過ごす学生たち。
今回のプロジェクトから学ばれたことは何ですか?今後の設計活動に活かされること、課題などについてご説明下さい。

緻密な構築によって生まれる建築的環境に対して、大きな空間と自然環境に委ねるランドスケープ的環境の可能性を感じたプロジェクトでした。ランドスケープデザインが生みだす空間には、時間・環境の変化に対して、その都度適応しながら変化していく魅力があるということを、再認識させられました。
棚田状のスタンド広場の全景。
“折れ線”によって作られる多様な“場所”。
移動する学生と憩う学生が共存するスタンド広場。
ランドスケープ・アーキテクトの社会に対する役割とは何ですか?

ランドスケープアーキテクトは、環境をつくることが仕事です。ただし、ランドスケープアーキテクトがつくる環境とは、単に自然環境等を指すのではなく、“風景”を指すのだと考えています。風景と呼ばれるものには、人の存在や人の営みを感じます。つまり、ランドスケープアーキテクトがつくる環境は、人の存在を肯定し許容する環境であるべきだと考えています。それがランドスケープアーキテクトにおける社会的な役割の根幹だと考えています。
既存の大きなクスノキを活かした北門アプローチ広場。
“フローリング”のような繊細なグラデーション。
全体平面図  ( Drawing ©: DESIGN NETWORK +ASSOCIATES )

Eメール インタビュー:八木夕菜
九州産業大学ランドスケープ
2012
福岡

ランドスケープ
有限会社デザインネットワーク

設計代表者
古家英俊、古家俊介

プロジェクトメンバー
伊藤幹治

共同設計
久米設計九州支社

照明デザイン
山田照明

施工会社
松井建設・大成ロテックス(1期) / 西松建設・九鉄工業・大林道路(2期)

敷地面積
220,470㎡

建築面積
4,100㎡ (1期) / 6,600㎡(2期)

写真
有限会社デザインネットワーク